恋い焦がれて・・・

hashikawa2009-07-26

ベルギーに坊主が中途半端に伸びたような髪の毛をした「研修生」が2週間ほど前にやってきた。ヨーロッパで走ることを恋い焦がれながらも、様々な外的な理由により走ることを許されなかったその研修生は、ベルギーでレースのスタート地点に立ったその日、緊張した表情を見せたが、身体中から「スタート地点に立てる喜びオーラ」を発しまくっていた。その日、結果は8位、完走。出走者の殆どがフルタイムワーカー、距離も70km弱、ライセンスすら必要としないただの草レースだが、それでもレース中の彼は活き活きとしていた。そして、今日が8レース目。14日間で8レース。とにかくレースでの勝負勘と高負荷をかけるために、無理を承知でレースを詰め込んでいる。
昨日のレースで先頭集団に乗りながらもスピード不足により千切れた彼に、バイクペーサーを提案したら、今日の午前中にやりたいという。午後はレースなのに…でもレース数が多いし、昨日は60kmでリタイヤしているから、やるなら疲労が残っていない今日の午前中が良いと僕も思った。ペーサーは3分のスプリントを3本がメインメニューだったのだが、すべてが真剣勝負。彼なりに良い手ごたえを感じたようだった。午後のレース。午前中の疲労もあるだろうし、「集団に残って完走できれば…」と考えて僕は甘かった。1周目、7名の逃げを逃すも追撃の15名にしっかりと乗っていた。その後も先頭集団でアタックと吸収を繰り返しながらも、最後は20数名に先行されて、ラスト3周を残してリタイヤとなってしまった。

海外で走っている日本人は、僕が想像する以上に多いと思う。チームのスケジュールに合わせて海外で走る選手、自分から志願して遠征に加わる選手、チームを抜け出てでも一人で海外を走る選手。それぞれに事情があり、それらの選手を比較することはできないが、自分で「走りたい」と思っている選手には自然と周囲の人間が「応援したい」と言う気持ちになる。そして「走りたい」と言う気持ちが強いほど「応援したい」と言う気持ちも強くなり、応援されている選手は「強く」なる。