ブレーキなし。問題なし。

hashikawa2007-04-10

僕が実走行における講習会を開催する時は、必ずといって良いほど「フルブレーキングの講習」を行う。ロードレーサーにはブレーキが付いているから、握れば止まる。しかし、本当にブレーキの性能をフルに使っているか?制動距離(止まる時の距離)を短くする事で防げる事故だってきっとあるはずだ。ロードレーサーに乗っている人達には、交通事故における加害者にも被害者にもなって欲しくないから、「速く走る事よりも早く止まる」事の方が重要だと思っている。特にホビーレーサーの方には。

僕が講習会を行うのは、時速30kmであるポイントに進入し、そこからフルブレーキをかけて「何mで止まれるか?」を計るものである。登録してレースをしている方レベルだと、3m前後で止まる事が出来る。しかし、自転車暦5年以上のベテランと言われる方でも15mを超える場合もある。これまでの感覚で言うと、だいたい20人中、3m以内で止まれるのは2〜3名である。しかし、講習をきちんと受けたあとには、半数くらいの方が3m以内で止まれるようになり、9割の方は5m以内で止まれるようになる。それでも事故は起こり得るのは分かっているが、加害者、及び被害者になる確率は減ると思う。命を落とすような事故がかすり傷で済む場合があるかもしれない。そんな、まさかの為の講習である。

さて、この広告。かのNIKE様が渋谷に打ち出した広告である。NIKEがこのキャッチコピーを考えたのか、この写真に写っている若い子達がどのように思っているかは分からない。しかし、ブレーキの無いトラックレーサーは固定ギアにより減速する事は出来ても、止まる事は出来ない。

自転車は加害者にも被害者にもなり得る。「ブレーキなし。問題なし。」と言ったヤツに問いたい。「あなたは何mで止まれますか?」「人に危害を加えない為に細心の注意を払っていますか?」「人に危害を加えないと誓えますか?」

こうやって、事を大きくして話題にすればNIKEとしては宣伝広告効果が上がった事になると思うと、こうやってブログに書く事も腹が立つのだが、大いに問題はあると思ったので書きました(決して街乗りトラックレーサーの全てが悪いとは思っていません!)。一日も早く広告が撤収されて、ブレーキ無しの街乗りトラックレーサーが減り、事故が起きない事を願います。