松井のヤンキース問題・・・

僕は野球については素人だが、野球は素人の僕が見ていても面白いと感じるときがある。選手の好調、不調がすぐに数字で現れるし、ゲーム展開が激しく入れ替わるのが、自転車ロードレースには無い面白さなのかも知れない。特にメジャーで活躍する日本人野球選手には、ヨーロッパで走る日本人ロード選手を応援したくなるのと同じような気持ちで応援してしまう。今年の夏ごろ、「今年いっぱいで契約が切れる松井のヤンキース残留は絶望的」との報道が流れた。特にこの頃は怪我もあったりして守備に対する不安があり、バッティングのみに専念するDHとして出場する機会が増えた。その後の松井は驚異的な追い上げを見せ、ホームランと打点を量産。ワールドシーリーズでMVPに選出された事は記憶に新しい。後半戦の活躍でヤンキースも松井に対し「残留」の方向で検討をはじめた。しかし、松井には「野球選手は守備とバッティングをこなせて野球選手である」という自負心があり、「DHで1年契約」と言うヤンキースの条件とは大きな隔たりがある。

ここにきて、多くの日本のマスコミが「松井を何だと思っているんだ!」というような記事を流している。僕はベルギーにいて多くの情報のソースはインターネットだからその情報は特に偏ってしまうのかもしれないけれど、「それは言いすぎじゃないの」と言う記事まで飛び出している。まぁ、このサイトはゴシップネタが多いとは思うけれど、こんな記事を目にするたびに、それはちょっと違うのではないかと思う。

だって、今年、多くの契約金(年棒11.7億円)をもらいながら怪我をして守備につけなかったわけでしょ?チームとしては高級品である松井を怪我のリスクから回避するために守備から外し、より活躍できるDHにしたんでしょ?(俺は詳しく知らないけれど…)それじゃ、ヤンキースの言っていることはまったくもって正当な意見のように聞こえてしまう。それよりも松井が思っている「守備もやりたい」と言う感情は、「一度、信頼を失ったのだから諦める」もしくは「守備を1年通し、信頼を得てから自分の意見を主張する」べきなのではないか? さらに言えば、「野球選手は守備とバッティングをこなせてこそ野球選手である」と言う自負心はかつて故障知らずで全試合出場にこだわった(連続出場記録は13年間で1768試合)男の美学なんかもしれないけれど、スポーツ選手だって歳をとれば故障だってするし、自分の身体に合わせた試合への臨み方を考えても良いのではないだろうか?

守備につけないのは面白くないと松井は思うのかもしれないけれど、DHだって立派な野球選手である。野球は得点を得なくては勝つことが出来ない。DHは言わば得点を得るための最終兵器と言うかエリートなわけだし、守備につかなかった松井がワールドシリーズでMVPに選ばれているわけだし、本人が思っている以上にDHとは大事なポジションなんだと思う。

松井が自分の野球観にこだわって野球をしている姿はカッコイイ。だけど、このままヤンキースでDHとしてポイントゲッターとして活躍する松井だって十分にカッコイイ(いや、カッコイイとかそういう次元じゃないのはわかっているけれど…)と思うし、他球団で環境が変わり活躍できなくなるリスクを回避させてもよいのではないだろうか?