ナビスコ杯での川崎Fに思うこと

先日、サッカーのナビスコ杯で準優勝した川崎Fの選手達の表彰式を含めた試合後のマナーについて様々なメディアが取り上げていた。多くは「選手の態度がけしからん」とネガティフな取り上げ方をされていた。「プロとして年棒をもらいさらに賞金まで貰ってその態度はなんだ!」と僕も思う(賞金は返却したみたいだけど…5000万円だよ!自転車のコンチネンタルチームの1年分の活動費だ!!)。「ファンに対し握手を拒む。」くらいは「よほど悔しかったのだろうな…」「ここで笑って握手したら、準優勝である事(負けている事)に喜んでいる自分を認めてしまうことになる」と感じていたのかもしれないし、その気持ちが分からなくもない。僕も過去に記者会見を中座したことがある。この時は声は震え悔しくて涙が出てきそうだったのを、ごまかす為に中座したのだけど、そんな気持ちが分からなくも無い。しかし「ガムを噛んだまま表彰式に参加…」となるとそれはちょっと違うだろ?と言いたくもなる。

でもね、これらの行為は「けしからん」と思うけれど、そのような体質にしたのは、ベテランと言われる先輩達にも問題があったのだと思う。今の日本の風潮で「人とのコミュニケーション」が希薄になっている。僕が24歳のときにレース会場で先輩である浅田さん(エキップアサダ監督)に「受付どこ?」とタメ口で話しかけているところに、たまたま通りかかったのが三浦 恭資さん。「なんや、先輩に向かってその口の利き方は!」と一喝された。ほとんど初対面だったにも関わらずいきなり叱責された僕は正直言えばムカツイタ。

それから10年が経ち、僕がBSアンカーを辞めて、キナンに所属していた時の事。僕が三浦さんとエレベータの前で待っていたら、アンカーの後輩がやってきた。目が合った瞬間彼らは僕に頭を5cmくらい下げて挨拶をしたつもりだったのだろうが、三浦さんはそれに気づかず、「お前ら先輩と会って挨拶もロクにできんのか!」と一喝。この時は「いや、会釈はしてくれました…」と一応フォローはしたけれど、この時後輩に対し「もっとしっかりと躾けておくべきだった」と後悔した。最後に嫌な思いになるのは後輩達なんだし、自転車競技の業界は本当に狭いから、どこでどのような人間関係が築いていくか…と言うよりも、全ての人間と繋がっている。過去に三浦さんに一喝されてムカイツイタ僕だって、その後三浦さんにチームに入れていただいて本当にお世話にもなっている。日本が人との関係が希薄になっているのは仕方ない。けれど、日本の自転車競技界に限っていえば、川崎Fのようにはなって欲しくないし、僕は今後とも「ウルサイオヤジ」であり続けようと思う(つづく)。