ちょっと前の話になるけれど…先の9月3日から12日まで「あさひレーシング」の「萩原 麻由子」選手がベルギー遠征にやってきた。正直言うと、僕は女子のレースにはあまり関心が無かった。ベルギーにどういうチームがあって、どのような活動が行われているのかなど全く知らなかったのだ。90年代にベルギーで一緒に走っていた三浦恭資さんが監督を務めるあさひレーシングがやってくると言われれば、黙っていられなくなりアレコレお手伝いさせていただきました…と言ってもレースのスケジュールを組んで寝る場所を確保したくらいで、他の事は三浦さんと由美子女史にしていただいたので、写真を撮る以外ほとんどする事は無かったのですが…

レースを観戦して感じた事は、やはり強いやつは強い!もちろん、萩原選手の事を指して言ってっているのだが、「ベルギーのレースは初めてなので…」とか、「一昨日到着したばかりで時差が…」とかそんな言い訳を聞く理由がないほど、しっかりとそして着実な成果を残して帰って行った。遠征期間が「10日間」である事を聞いた時、正直言うと「たったそれだけで何を吸収できるのか?」…それはベルギーで受け入れる立場で言えば「何を吸収させる事ができるのか?」を考えなければならなかった。そして、僕自身の20代の頃の経験などを考えた時に「10日間で何ができる?」と不安になったのだ。

しかし、萩原選手の走りはそんな僕の心配をよそに、気持ち良いレースを見せてくれた。日本の女子のレースでは集団走行なんて滅多にない。ましてやゴールスプリントなんて皆無である。萩原選手曰く「ゴールスプリントはアジア戦で1回しかやった事がありません…」と言う。失笑しちゃうよね…だけど彼女はそんな経験の無さを、経験豊富なベルギー人の選手を相手に互角以上の走りを見せてくれた。

それはセンスであり、少ない事から学ぼうとする貪欲さでもある。それでも、彼女はたったの4レースを走りに来て勝てなかった事への悔しさで「前回注意されたことと同様の失敗をしてしまったこともありますが、大きな敗因は、どうしても勝ちたいという勝ちに対する貪欲さが無かったことじゃないかと思いました。」と自身のブログで語っている。僕にもそういう時代があった。確か25歳くらいの時だと思う。すでにベルギーでプロとして走り、ベルギーで400レースくらい走って、ようやくその事に気付いた。そして気付かせてくれたのは、やはり三浦さんの「橋川、いつまでもそんなレースしてたらあかんで…」と言う一言で目覚める事ができた。

同じ失敗は何回も繰り返す。ただ、一流と三流の違いは修正できる選手と失敗し続ける選手の違いで、その修正できる確率が高い選手が一流と呼ばれている。一流選手だっていまだに同じ失敗を繰り返しているんだから、ベルギーでの失敗は失敗のうちに入らない。これからが勝負だね!

萩原選手の出走する世界選手権女子エリートは今週末の土曜日2日に行われる。女子のレースにもちょっとだけ関心がでてきた…というより萩原選手の今後の活躍に注目しなきゃ!!