ゲント 6日間レース


Lotto 6 daagse Vlaanderen-Gent


先日…と言っても、もう2週間が経とうとしていますがGentの6日間レースに行ってきました。正式レース名は「Lotto 6 daagse Vlaanderen-Gent」。11月23日〜28日の開催です。イベントそのものにフランドル地方のスポーツ省がスポンサーしていたり、「Lotto」とはあのお馴染みのロットがスポンサーしていたりしています。ロードレースがスポンサーの冠付レースが少ないのに対し6日間レースは名前からして「イベント」感がいっぱいです。皆が6日間レースのイメージをどのように持っているかは分らないけれど、僕の6日間レースのイメージは「マディソンで1日1時間くらいを6日間連日で走る」と言うのが昨年までの印象だった。しかし、実際は午後1時40分から様々な種目で周回+ポイントが合算される「複合競技」です。その慌ただしいプログラムは…

13:40 ポイントレース
14:00 チームエルミネーション
14:20 チーム166mフライングT.T.
14:50 デルニ予選1組
15:05 エルミネーション(デルニに参加していない選手のみ)
15:20 デルニ予選2組
15:35 チーム500mフライングT.T.
16:00 デルニ 決勝
16:20 ポイントレース
16:45 マディソン
17:45 レース終了
17:50 表彰式

と13:40から17:45までの4時間、分刻みで様々な種目が行われ、選手からしてみたら走りっぱなしのスケジュールです。最終日は家族連れでも楽しめるように午後6時には全てのプログラムが終了するように配慮されていますが、最終日以外の火曜日から土曜日までは深夜1時〜2時くらいまで走っています。



ポイントレース 長い競技時間×6日間というスケジュールの中で、6日間レースは最終的な周回数とポイントで競われる。選手たちはポイントを稼ぐタイミングを見計らいながら走っている。つまり、長い時間の中ではポイントレースなど「各種目」はツールドフランスに例えれば「スプリントポイント」みたいなもので、必要のない選手は休んでいる。ただし、最後のマディソンだけは別。周回遅れになってしまうと致命的になる。



デルニ 僕が気に入ったのはこのデルニ。ペダル付きのモペット(デルニ専用車です)で選手を先導し着順を競います。6〜7名が一度に走り、バイクに先導されたスピード感と合わせて迫力がある。何よりも選手は「馬」に過ぎず、勝敗は「騎手」であるペーサーに委ねられる。千頭で睨みをかきかせているのがこの世界での超エキスパート「ヨープ ゼイラード」オランダ人。そして、今勢いのある若手ペーサーが国際競輪で来日経験もある「ミッシェル バルタン」ベルギー人。結局バルタンが予選1組、2組、決勝と全て勝ってしまった。「そんな事が起こってしまっていいのかよ…」と思いつつ世代交代をちょっと感じ、切なくなりました…

選手は「多分」くじ引きでペーサーと組まれるので勝てるか否かは運次第? デルニ決勝後の表彰式にて談笑する「6日間レースの帝王」パトリック セルキュ氏とバルタン。



エルミネーション ツールやベルタでも区間優勝をし、日本のツールド熊野にも出走しているレオン ファン ボン(手前)はチームエルミネーションで優勝した。福島 晋一と親交がある。うらやましい…(笑 僕と福島がブリヂストン在籍時の冬になぜかブリヂストンサイクルの築40年くらいの社宅での飲み会に突如遊びに来た。ラボバンクの現役選手…しかもツールで区間2勝している選手がBSアパートの飲み会に参加…これだけで彼のファンになってしまった。この日、ダニー スタムとペアを組み、チームエルミネーションで優勝、6日間の総合は5位だった。




166m フライング 2人1組で走るフライングスタートの166mT.T. 2人でゆっくりとバンクの上を周回し、徐々に加速。1人目が発射台となり、「タッチ」しながら2人目が加速していく様は迫力がある。写真は優勝したイェンス モウリスとウィム ストローティンガ。2人ともオランダ人。イェンスはバカンソレイユに所属している。



束の間の休息時間 昨年のGent6日間レースの優勝者で、2009年の世界選手権でチームパーシュート、マディソンの2種目で優勝しているA.ラスムッセン。レースの無い僅かな休憩時間はこの小さな箱の中で休んでいる。iPhonを片手にしたり、音楽を聴いたり、マッサージを受けたり、時間の過ごし方はそれぞれだ。休息と言ってもレーサーシューズを脱ぐ時間すら無い…!?



スーパースター 2002年にドイツテレコム時代にロードでドイツチャンピオンになりジロでは区間2勝している「ダニーロ ホンド」(左)はロード選手のイメージが強いが、94年には世界選手権のチームパーシュートで優勝している。現在はランプレに所属。一緒に組んでいるのはオリンピックで2つの金メダルと世界選手権で4つの金メダルを獲得しているR.バルコ。彼だけではなく、6日間レースにはビッグタイトルを引き下げてスーパースターが集まる。



サースティ? 1時間にわたる「マディソン」では補給が行われる場合もある。




エキップメント 種目によってホイールも入れ替える。昔の銀色のシャマルを使っている選手がいたのも気になった(笑



リザルト 複雑な順位、ポイントは常に電光掲示板にアップロードされる。




ファミリー 最終日の日曜日は6時にすべてのプログラムが終わる事もあり家族連れも多かった。上の写真の親子が着用しているのは「イリィヨ Tシャツ」



帝王の鐘 6日間レースの帝王 パトリック セルキュはベルギー出身。彼の名を冠した「鐘(ジャン)」。しかし、最近のジャンは電子音…残念ながら鐘の音を聞く事はできなかった。



カリスマ 今年は最終日前日まで5ペアが接戦を繰り広げ、中でも昨年2位のベルギー人「イリィヨ ケィッセ」への声援が多かった。シクロクロスでのヒーローがネイスなら6日間レースのヒーローはイリィヨだ(上写真左)。




大合唱♪ イリィヨが優勝を決めると、場内「イリィヨ」コールの大合唱♪






FUN 選手には過酷なスケジュールでも、観戦する側からしてみたら4時間も飽きることなく、自転車レースの観戦ができるのはイベントとして大成功なのだろう。6日間レースは一時期観客の減少やスポンサーの撤退なので収益が減り、レースの開催数も減少する傾向があったが、ここ数年はまた勢いを取り戻している。春のクラシックシーズンも良いけれど、ハンバーガーとビール片手に6日間レース観戦も絶対お薦めです!なによりも観戦しているファンが皆楽しそうでしょ!

最終成績
1. Team Mega Deschacht - John Saey 406P
Schep Peter - Keisse Iljo
2. Team Mercator Verzekeringen
Lampater Leif - De Ketele Kenny 345P
3. Team Lotto
Hondo Danilo - Bartko Robert 275P
4. Team Callant - Santens
Morkov Michael - Rasmussen Alex 346P -1Lap
5. Team AA Drink
Van Bon Leon - Stam Danny 254P -1Lap
6. Team VDK
Aeschbach Alexander - Marvulli Franco 301P -2Lap
7. Team AVS
Hester Mark - Madsen Jens-Erik 149P -7Lap
8. Team Caruur
Stroetinga Wim - Mouris Jens 160P -14Lap
9. Team Topsport Vlaanderen
Ligthart Pim - Mertens Tim 279P -18Lap
10. Team ADMB
Kneisky Morgan - Roberts Luke 111P -20Lap
11. Team Geka Kaas - OudenDijk
Vermeulen Jeff - Donadio Sebastian 155P -31LAP
12. Team EuroTyre
Muller Andreas - VD Sande Tosh 92P -35Lap
13. Team Provincie Oost-Vlaanderen
Schets Steve - Deneef Steven 114P -46Lap



ドカ ドカティのデルニ…素敵です(笑